疲労って何?
マラソンランナーが長距離を走り続けると、疲労が襲ってきます。この疲労って何なんでしょうか?
疲労を理解して、上手く付き合うことで結果に繋げる。疲労について深堀していきます。
疲労は大きく分けると、筋肉が疲労する「抹消疲労」と、脳が運動にストップをかける「中枢疲労」は分けることができます。
抹消疲労とは
抹消疲労は、運動中に使用される筋肉が疲労し、力を失う現象です。マラソンランナーが長時間にわたって走り続けると、筋肉が繰り返し収縮し、エネルギーを消費するため、このような疲労が生じます。特に下肢の筋肉が疲労することが多く、ランナーは足が重くなり、ステップが重たく感じられることがあります。
この疲労がすぐに来ないようにするためには、適切なトレーニングやストレッチ、適切な栄養補給を行うことが重要です。
抹消疲労に関与する要因は多岐にわたりますが、特に以下の要素が重要です。
■炎症性サイトカインの増加
長時間の運動により筋肉が受ける微小損傷は、炎症性サイトカインと呼ばれる炎症反応を引き起こします。これにより、筋肉が疲労しやすくなり、回復時間が長くなります。
■イオンバランスの変化
運動中には、筋肉が活発に収縮し、イオン濃度が変化します。特にナトリウム、カリウム、カルシウムの濃度変化が影響を与え、筋肉の収縮とリラックスに重要な役割を果たします。イオンバランスの乱れは筋肉の機能低下や疲労を引き起こします。
■グリコーゲンの枯渇
長時間の持久運動により、筋肉は主にグリコーゲンという糖の貯蔵物を消費します。グリコーゲンの枯渇は、エネルギー供給源が不足し、筋肉の疲労やパフォーマンスの低下につながります。
■活性酸素の蓄積
運動によって代謝が促進されると、細胞内で活性酸素が生成されます。過剰な活性酸素の蓄積は酸化ストレスを引き起こし、筋肉の損傷や疲労を促進します。
次に、「中枢疲労」を考えてみましょう。
中枢疲労とは
中枢疲労とは脳が運動にストップをかける現象です。長時間の運動により、脳は身体に疲労を感じさせ、運動を続けるための信号を送らなくなります。このような状態では、ランナーは精神的にも肉体的にも疲れており、集中力や動機付けが低下し、パフォーマンスに影響を及ぼします。中枢疲労は、ランナーが心身の疲労を克服するためには休息や適切な心理的支援が必要です。
ウルトラマラソンにおいては、練習でもレースでもこの中枢疲労と上手く付き合うことが重要です。
中枢疲労に関与する要因は、特に以下の要素が重要です。
■神経伝達物質の関与
中枢疲労は、脳の神経伝達物質の働きによって制御されます。特にセロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質は、情動、注意、動機付けなどの機能を調節し、運動中の精神的な状態や意欲に影響を与えます。これらの神経伝達物質のバランスの変化は、中枢疲労の発生に関与します。
これらの要因が複雑に相互作用し、マラソンランナーの抹消疲労と中枢疲労を引き起こします。効果的なトレーニングや栄養補給、十分な休息、そして適切な心理的サポートが、これらの疲労を軽減し、持久力を高める上で重要です。
これらの疲労を克服するための対策は様々です。まず、トレーニングプランを立てる際には、適切な休息とリカバリーを取ることが重要です。また、適切な栄養補給や水分補給を行うことで、筋肉の疲労を軽減し、エネルギー源を補給することができます。さらに、心理的なサポートやコーチングを受けることで、中枢疲労に対処することができます。疲労を克服するためには、ランナー自身の意志と努力だけでなく、周囲のサポートや適切なケアが欠かせません。
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