ベテランより初心者の方が故障しやすい。これは、ランニング歴が長い程、故障を経験しており、「どうなれば故障する」ということが分かるようになってくるからである。
それでは、全員その道を通る必要があるのか?
初心者ランナー向けに、「増やしすぎると故障リスクが上がる可能性」と「安全に走行距離を増やすための実践的な目安」を、エビデンスを交えてまとめてみる。ただし、「これを守れば絶対怪我しない」という保証はなく、“リスクを下げる”という観点でのアドバイスである。個人差が大きいので注意してほしい。
研究から見えるところ:どんな増やし方がリスクになるか
初心者〜中級ランナー向けの文献で、「走行距離の急激な増加」がランニング障害(オーバーユース傷害、疲労骨折含む)と関連があるというものが複数あります。以下、ポイントと注意点を整理します。
- “10 %ルール”の検証と限界
- 過度な週あたり距離増加と怪我リスク
- “Excessive progression in weekly running distance and risk of running-related injuries” という研究(新米ランナー対象)では、2週間で週距離を 30 %超増やしたランナーは、10 %未満増のランナーに比べて“距離関連障害(膝・脛部・股部など)”のリスクが上がる傾向があると報告されています(though 統計的有意差が弱い) PubMed
- ただし、この研究でも“すべての怪我”が距離増加だけで説明されるわけではなく、増加率と怪我率の関連性には不確実性があるという指摘があります。 meridian.allenpress.com
- ストレス骨折に関連する距離・強度増加
- 単発での急増が怪我リスクを高めるという最近の知見
- 最近の大規模コホート研究で、「過去 30 日の最長ランに比べて、ある日のランで距離を 10-30 % 多く走ると怪我リスクが ~64%上がり、30-100 % 多いと ~52%、100 % 以上多く走ると ~128%上がる」という報告があります(British Journal of Sports Medicine, via JAMA summary) ジャマネットワーク+1
- これによると、「1回のセッションで急に距離を伸ばすこと」が怪我リスクに大きく関係している可能性が示唆されています。 ジャマネットワーク
- 系統的レビューでの注意
- “The Association Between Running Injuries and Training Parameters: A Systematic Review” というレビューでは、「走行距離や頻度、強度などのトレーニングパラメータとランニング障害との関連には、研究間で大きなばらつきがある」「明確な一致した証拠は少ない」という結論が出ています。つまり、距離を増やすことが必ず傷害につながるとは言い切れないということ。 PMC+2meridian.allenpress.com+2
初心者が安全に月間走行距離を増やすための実践的なガイドライン(提案)
研究から得られる知見と現場・経験則を組み合わせて、初心者が怪我リスクを抑えつつ徐々に距離を増やすための目安を以下にまとめる。あくまで「安全マージンを重視した提案」である。
目安となる進め方(週 → 月 → 長期)
- 「2週間で 30 % 超増加」は注意ゾーン
研究(turn0search6)では、2週間で週距離を 30 % 超増やすと“距離関連障害”リスクが高まる可能性が示されているので、このあたりを上限目安と考えるのが安全側。 PubMed - 最初の数週間は徐々に始める
完全な初心者であれば、まず週あたりの距離(または時間)を少なめに設定し、週ごとに +10 % 程度を目安に増やしていくのが無難。急激なジャンプは避ける。 - 月ベースで見たときの “120 % 増し” はリスクが高そう
たとえば、先月が 100km なら今月が 120km、という “+20 %” なら比較的安全圏。しかし「200 % (2倍)」は一気にジャンプが大きく、怪我リスクがかなり高くなる可能性があります。これは先行研究が示す “急激なジャンプ” のリスクに合致します。 - 単発セッションでの急増に特に注意
長距離走(ロングランなど)を1回で突然増やすことが怪我のトリガーになるケースが多いという研究があるので、月間走行距離を増やす際にも、ロングラン(または最長走)を徐々に伸ばしていくことが大切。 ジャマネットワーク+1 - リカバリー・休息・強化を組み込む
距離を増やすだけでなく、筋力トレーニング、フォーム改善、クロストレーニング、十分な休息・睡眠、栄養・骨の強化(カルシウム、マグネシウム、ビタミンKDなど)を併用することが非常に重要。
提案モデル:初心者の 3-4 ヶ月ロードマップ例
以下は一例ですが、初心者が安全に走行距離を増やすためのロードマップ案です(週・月あたりの増加を慎重に、リスクを抑える方向で設計)。
期間 | 目標週間距離(例) | 増加率の目安 | 注意点 |
---|---|---|---|
月 1 (導入) | 20-30km/週(まず身体を慣らす) | — | 最初は “ゆっくり・短め・低頻度” でスタート |
月 2 | 25-35km → 30-45km/週 | +10-20%/週が目安 | 疲労・痛み・休息日をよくモニタリング |
月 3 | 40-50km → 45-60km/週 | +10-20%/週、月間で+30-50%程度 | ロングランを少しずつ伸ばす、強化運動併用 |
月 4以降 | 徐々に 60-80km超を目指す | 慎重に、増幅を抑え、1回走+週走増加のバランスを保つ | 急激なジャンプやロングランの増加を避ける |
安全上の “チェックポイント”と “ストップサイン”
進める中で「ここで無理をしないほうがよいサイン・判断基準」も設けておくとよい。
- 脛(すね)、足底、足首、膝、股関節に 持続する痛み・腫れ・圧痛 がある
- 休息後も痛みが取れない
- フォームが乱れている、スピードが落ちているのに疲労感が強い
- 睡眠・栄養が足りていない、体重が落ちている/ホルモン異常がある(特に女性)
こうしたサインが出たら、走行距離増加を一時ストップして休息・回復・補強に切り替えるのが賢明です。
結論(初心者向けアドバイスまとめ)
- 「月間距離を 200 % に増やす」ような急激なジャンプは、初心者では かなりリスクが高いと考えられる。
- 週ごと・月ごとに「+10-20 % 程度」で慎重に増やすのが、研究・実践から見て比較的安全とされる範囲。
- 単発のロングランで “急激なアップ” をしないことが、怪我予防のカギ。
- 走行距離増やすだけでなく、強化・休息・栄養・フォーム改善・クロストレーニングをバランスよく取り入れることが非常に重要。
分かっちゃいるけど、走ることに真剣になればなるほど距離が延びてしまうもの。
その時は、「自分の体と何度も対話する」ことが重要。
上記の、「安全上の “チェックポイント”と “ストップサイン”」と重要視してほしい。
Keep Running®(キープランニング)の事業
パーソナル・ランニングスクール「Keep Running®(キープランニング)」では福岡市中央区(大濠公園近く)にて、個人対象、法人対象の事業を行っています。
■個人
会員制のパーソナル・ランニングスクール「Keep Running®(キープランニング)」(福岡市中央区大手門3-12-12-403、大濠公園近く)
マンツーマンの専属コーチとなり、フォーム解析、練習計画、モチベーションアップ、体作りを行い、目標達成へと導く。その結果、人生が充実してく。『リバウンドしないダイエットプラン』も好評。唯一無二のランニングイベント、練習会、座学、などを企画運営し、高品質な会員制のランニングスクールを運営する。
■法人
「健康経営優良法人」サポート事業・コンサル事業を、運動・栄養・休養を軸に、企業様の事業発展のためにサポートを行う。社内研修も「長く働き続ける体作り」をテーマに、運動・栄養・休養を軸に講演を行う。
「健康経営」を推進するための研修、オーダーメイドのサポート事業、新入社員研修など。
■子供のランニング教室
別事業で、子供のランニング教室「名島ジュニアランニングクラブ(名島JRC)を運営する。毎週水曜日の17:00-18:30にて、名島運動公園にて行う。運動・栄養・体幹を軸に、速く走るだけじゃなく、バランスの取れた身体を作り上げていく。
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