糖質エネルギーから脂質エネルギーへの“燃料転換”とは?

糖質エネルギーから脂質エネルギーへの“燃料転換”とは?


はじめに

マラソンに挑戦するランナーにとって、多くの人が悩まされるのが30km以降の失速。脚が動かない、エネルギー切れ。いわゆる「30kmの壁」と言われるところです。脳疲労も考えられますが、エネルギーの枯渇も重要な要素です。

エネルギーの枯渇において大きな原因の一つが「糖質エネルギーの枯渇」。
人間は主に 糖質(グリコーゲン)と脂質 をエネルギー源として使っていますが、体内の糖質は限られた量しか蓄えることができません。

そこで重要になるのが、「脂質代謝能力」を高めること。つまり、糖質ではなく脂質を効率的にエネルギーとして使える身体に変えることです。これができれば、マラソン後半でもエネルギー切れを起こしにくくなり、粘り強い走りが可能になります。

今回は、糖質中心のエネルギー消費から脂質中心の“省エネ型”ランニングへと変えていく方法と、そのメリットについて解説します。


なぜ脂質エネルギーが大事なのか?

人間の体内に蓄えられる糖質(グリコーゲン)はせいぜい2000kcal程度。これはマラソンで言うと30km前後で使い切ってしまいます。(体重60kg×30km=1800kcal)

一方、脂質は体内に数万kcal以上も蓄えられており、枯渇しにくいのが特徴です。体脂肪率が低いランナーでも、5万kcal以上の脂質エネルギーを蓄えていることもあるほどです。

つまり、脂質を効率よく使えるようになれば、糖質を節約でき、長時間動き続ける持久力が手に入るというわけです。


脂質エネルギーを活用するための方法

① ゆっくり長く走るロング走

脂質を使う練習の王道が「ロング走」。
ペースは会話できるくらいのゆったりペース(LSD~Eペース)で、90分以上走るのがポイントです。
このペースでは体は糖質よりも脂質をメインに使うため、脂肪を燃やす回路(ミトコンドリア系)が鍛えられます。

→週1回、90~120分以上のロング走を取り入れると効果的です。


② 空腹時ジョグ(朝イチのジョグ)

朝起きた直後は、体内の糖質(肝グリコーゲン)が少ない状態です。このタイミングで軽く30〜60分ジョグをすることで、自然と脂質代謝が優先されます

→ただし、強度を上げすぎると筋肉を分解するリスクがあるため、軽いジョグがお勧めです。


③ ファットアダプテーション(食事の工夫)

トレーニングと食事の組み合わせで、体を脂質利用型に切り替える方法です。
たとえば…

  • 炭水化物を控えめにし、脂質とたんぱく質を多めに取る食生活を2〜3週間ほど続ける
  • トレーニング前に糖質を取らずに脂質メインのエネルギーで運動する

といった工夫をすることで、体が脂質を優先的に使う回路が発達してきます。

※ただし、急激な糖質制限は体調不良を招くことがあるため、個人差を見ながら慎重に導入しましょう。


脂質代謝が高まるとどうなる?

  • 30km以降の失速が減る
  • 給水・補給の回数を最小限に抑えられる
  • 心拍が安定し、一定ペースを維持しやすくなる
  • 筋肉の糖を節約することで、疲労感が軽減する

脂質エネルギーが使えるようになることで、まさに“省エネ走行”が可能になります。ウルトラマラソンを行っているランナーは多く取り入れている方法です。一般ランナーにとってもこの仕組みを味方にするのは非常に有効です。


まとめ

マラソンは「エネルギー管理の競技」です。
走るだけではなく、“どうやって体内の燃料をうまく使いこなすか”が記録向上のカギになります。

糖質だけに頼るのではなく、脂質も使える「ハイブリッド型の燃費の良い身体」を手に入れれば、あなたのマラソンは一段と安定し、後半に粘れる走りができるはずです。

ぜひ今回紹介した方法を、普段の練習や食生活に少しずつ取り入れてみてくださいね。

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この記事を書いた人

楢木十士郎