楢木十士郎 足底筋膜炎とは
足底筋膜炎は、足の裏にある「足底筋膜」と呼ばれる厚い結合組織の炎症または損傷によって引き起こされる痛みのことを指します。特に、かかとの内側部分に痛みが生じやすいのが特徴です。マラソンランナーのように足を多用するスポーツ選手に多く見られる障害の一つです。
主な原因
- 過度のランニング
- 長距離ランニングによる繰り返しの衝撃で、足底筋膜に過負荷がかかることが原因となります。特に、急激にトレーニング量を増やした場合にリスクが高まります。
- 足のアーチの問題
- 扁平足やハイアーチのランナーは、足底筋膜に異常な負荷がかかりやすく、炎症が発生しやすいです。
- 不適切なシューズ
- クッション性やサポートが不足しているランニングシューズを使用すると、足底筋膜にストレスが集中します。
- 柔軟性や筋力不足
- ふくらはぎや足の裏の筋肉の柔軟性が不足していると、足底筋膜にかかる負担が増加します。
症状
- 朝起きた直後や休息後の初歩きでかかとや足裏に強い痛みを感じる。
- 長時間のランニング後や運動中に足裏が痛む。
- 痛みが進行すると、ランニングだけでなく日常生活でも不快感を伴う。
診断
- 問診
- 症状の特徴やランニング習慣の確認。
- 身体診察
- 足底筋膜やかかとの圧痛点の特定。
- 画像検査
- 必要に応じて、X線やMRIで骨棘（かかと部分の骨の突起）や炎症を確認。
治療・対策
保存療法（非手術的アプローチ）
- 休養とトレーニングの調整
- 痛みが軽減するまでランニングを中止し、徐々にトレーニングを再開。
- ストレッチと筋力強化
- 足底筋膜やふくらはぎを伸ばすストレッチを日常的に行う。
- 足の指でタオルを掴む運動や、足のアーチを鍛えるエクササイズが有効。
- アイシングとマッサージ
- 炎症を抑えるために痛む部位を冷やし、筋膜の緊張を緩めるためにマッサージを行う。
- 適切なシューズとインソール
- アーチサポートのあるシューズや、カスタムインソールを使用する。
- 医療的介入
- 痛みがひどい場合は、消炎鎮痛剤やステロイド注射を使用する場合もあります。
手術療法
- 保存療法が効果を示さない場合には、手術を検討することがあります。これは稀ですが、特に重症例に適用されます。
予防策
- トレーニング計画の工夫
- 徐々にランニングの強度や距離を増やすことで足底筋膜への負荷を減らす。
- 適切な靴選び
- 自分の足の形に合ったシューズを選び、定期的に交換する。
- 定期的なストレッチとケア
- ランニング前後にふくらはぎや足底筋膜のストレッチを行う習慣をつける。
- 体重管理
- 適切な体重を維持することで足への負担を軽減する。
マラソンランナーへのアドバイス
足底筋膜炎は早期発見と適切な対策が重要です。痛みを無視してランニングを続けると症状が悪化し、長期の休養が必要になることもあります。トレーニング後のケアを徹底し、自身の体のサインを見逃さないように心がけましょう。
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