【トレーニング】中枢神経疲労について

ランナーと中枢神経疲労:パフォーマンス向上の鍵

マラソンランナーの皆さん、長距離を走った後に「脚が動かない」と感じたことはありませんか?多くの人は、この疲労を単に筋肉の問題だと考えがちです。しかし、実は脳が大きく関与している「中枢神経疲労」が重要な要因となっていることが、最近の研究で明らかになってきました。

中枢神経疲労についてまとめていきます。

中枢神経疲労とは?

中枢神経疲労とは、脳が運動にストップをかける現象です。長時間の運動により、脳は身体に疲労を感じさせ、運動を続けるための信号を送らなくなります。つまり、脚の筋肉自体はまだ動けるのに、脳が「もう十分だ」と判断して、動きを制限してしまうのです。

驚きの研究結果

ある興味深い研究では、2時間の自転車運動後の筋力低下を調査しました。結果は驚くべきものでした。

  • 自力で発揮できる筋力:運動前の60%まで低下
  • 電気刺激で発揮できる筋力:運動前の90%を維持

この結果は、筋力低下の大部分が実は脳の疲労によるものであることを示しています。筋肉自体はまだ90%の力を出せるのに、脳の疲労により自力では60%しか出せないのです。

なぜ中枢神経疲労が起こるのか?

中枢神経疲労には、いくつかの要因が関与しています。

  1. 脳内の神経伝達物質の変化: 長時間の運動で、セロトニンなどの神経伝達物質のバランスが崩れます。
  2. 体温上昇: 運動による体温上昇が、脳の機能に影響を与えます。
  3. グリコーゲン枯渇: 脳のエネルギー源であるグリコーゲンが不足すると、脳の機能が低下します。
  4. 炎症性物質: 運動中に産生される炎症性物質が、脳の機能に影響を与える可能性があります。

ランナーへの影響と対策

中枢神経疲労は、マラソンでの失速(いわゆる「壁」)の主要因の一つと考えられています。対策としては以下のようなものが挙げられます:

  1. 適切な栄養摂取: 特に炭水化物の摂取が重要です。脳のエネルギー源を確保しましょう。
  2. 十分な休息: 質の高い睡眠は、中枢神経系の回復に不可欠です。
  3. 段階的なトレーニング: 急激な負荷増加は避け、徐々に強度を上げていきましょう。
  4. メンタルトレーニング: 脳の疲労に対抗するため、メンタル面の強化も重要です。
  5. 適切な水分補給: 脱水は中枢神経疲労を加速させます。

まとめ

ランナーにとって、中枢神経疲労を理解し、対策を講じることは非常に重要です。単に筋肉のトレーニングだけでなく、脳のコンディショニングにも注目することで、より効果的なパフォーマンス向上が期待できます。

次回のマラソンで「壁」にぶつかったとき、それは単に脚の問題ではなく、脳の疲労かもしれません。この知識を活かして、より賢く、より効果的なトレーニングと競技に臨んでみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

楢木十士郎